01.


「永遠に醒めない夢もある」
「哲学なら余所でやれ」
「冷たいなぁ、甲たんは」
「よし、お前とは親友の仲だ。
 この俺が直々に『永遠に醒めない夢』ってヤツをみせてやろう」
「あっは、お前には無理だよ」
「………」
「夢と現実の区別はどこにある?
 夢と現実の線引きは誰がする?
 それが客観的事象なのかはたまた主観的事象なのか、
 自省的主体性を備えた自己解釈的存在としての人間にその判断がつくと思うか?」
「だから哲学なら他で…」
「何故『永遠に醒めない夢』は醒めないと思う?」
「ガン無視か」
「何も眠りに就いて見るものだけを夢というんじゃない。
 目を開けて、呼吸して、屋上で物理サボって、『醒めて見る夢』だってある。
 さもあれば簡単な話だろ?」


ほら、お前は今そうして既に目を醒ましきってるじゃないか?





「───そう、醒めようがないからだよ」