13.


───愛しているという言葉も一生変わらない誓いと思っていたけれど、
 今はどうでもいい、全ては変わる───





「…しらけるな」


薄暗い自室。
と二人ベットを背に並んで見ているのは、毎週金曜の映画番組。
しかも恋愛映画ときている。
何が悲しくてこんなベッタベタな恋愛映画なんざ観るハメになったのか。
なんてことはない。
俺が何気無く押したボタンに4という数字がふってあったから、ただそれだけだ。
そして「日本の恋愛映画って見たことが無いの」と、
が興味津々になんて言ったからだ。
ちくしょう。
何で今週に限って恋愛映画なんだ。
お門違いも甚だしく、黄緑色の豚へと内心盛大に八つ当たっておいた。


「そう?」
「ああ。何をもってあそこまで絶望するのか俺には理解できないね」


言い捨ててアロマを吐き出す。
タイミングを計ったようにCMへと切り替わったテレビ画面。
ラベンダーの香りにつられたようにこちらを振り向くとは、
不思議そうにことりと首を傾げた。
それにまるで何をか言い聞かすかのように口を開く。


「この世に永久不変なんてものはない」


『生涯変わらぬ愛』など有り得ない。
どれほど強く、どれだけ固く教会で誓っても、移ろい異くのが人の心。
それはこの世を全方から貫く絶対の真理。


「? それはそうでしょ」


けれど。


「…え、まさかこれだけ一緒に居て、
 気持ちは屋上で出会った頃のままなんて言わないわよね?」


なら。
それがであるならば。





「私は3ヶ月前よりずっと甲太郎のことが好きよ」





『生涯変わらぬ愛』などやはり有り得ない。
しかし『生涯変わらず愛』を誓い続けることができるのではないか、なんて。
不覚にも、全身が総毛立つようなこっ恥ずかしいことを考えてしまうんだ。