「…ムカツク」
「何がです?」
「何でそんな贅肉ついてないのよ」
「貴女だって十分脂肪とは無縁でしょう」
「何でそんな肌白いのよ」
「貴女だって十分その色の白さで七難を隠しているでしょう」
「何でそんな顔若いのよ」
「貴女だって十分『うら若い乙女』でしょう」
「………あぁムッカツク」
「ええ、私も貴女に非常に腹が立ちます」
「…は?」


今はきょとりとあどけなく見張られたその黒曜の双眸も、
後数分もすれば涙にしとどと濡れ、気高い女の艶を敷くと知っているというのに。





「───どうしてこの私がこうも造作も無く乱されなければならないのかとね」





こんなにも振り切られ、掻き回され、鷲掴まれるのを良しとする己の拙さすらも愛しいとは。

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