「へー、ジェイドの旦那もそれなりに料理できるんだな」
「まあ男やもめの軍人ですからね。
最低限にはなりますが大抵の物は作れますよ」
「ははは、それにが料理上手いから作る必要も無いってか?」
「ああ、それもありますね」
「結構大変なのよ。好き嫌いとか合わなくて」
「へぇ、そうなのか?
2人共好き嫌いとかあんまり無さそうな感じがするけどな」
「全く食べれないってことはないから無いと言えば無いんだけど、
敢えて好き好んでは食べない物はあって、それが絶妙に反り合わないというか…」
「? どういうことだ?」
「うーん、例えば私はポークが好きなんだけどジェイドは好きじゃなかったり、
2人共豆腐は好きなんだけど、私は濃口醤油で、ジェイドは薄口醤油で食べたかったり、
からあげもジェイドはレモンかける派だけど私はかけない派だったりとか…」
「なるほどねぇ」
「本当なら、作って貰ってるんだから文句言わずに食いなさいよとか言いたいんだけど、
ジェイドって好きじゃない物でも顔色一つ変えず文句も言わず食すからそうも言えないし、
そうすると逆に作り手のプライドを刺激されるというか、
結局惚れた弱みもあってジェイドの好きな物ばっかり作ってる罠なのよねぇ」
「はは、だからの得意料理ってエンゲーブ料理が多いんだな」
「まぁそれだけが理由じゃないんだけどね。
あとジェイドって見た通り栄養が偏って出来てるもんだから、
自分で作る物だと5日連続蕎麦とかでも平気だったりで、
放っとくと好きな物しか作って食べないから、
私が作る時は足りない栄養分の補給も考えて献立組まないといけないのよ」
「世話をかけます」
「そう思うなら日頃からちゃんと栄養価計算して食事しなさいよ。
折角腹立つ程に明晰過ぎる頭がくっついてるんだから。
そんなんだから軍の健康診断で『痩せ気味』なんて診断受けるのよ」
「何だかもう夫婦みたいなもんだな」
「どっちかと言えば家政婦じゃない?」
「どちらでも構いませんよ。貴女が私の傍に居るのなら」
「「………」」
「おや、そろそろ麺がいい具合になったようですよ」
「………そうね」
「あはは、そうだな(結局何だかんだでも結構丸め込まれてるんだな)」
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