「ん? どうした、その勇ましい左耳の負傷は」
「どっかの陰険ロン毛うっかりドS鬼畜眼鏡にやられました」
「ほぉ」
「あの男、事の最中に何を思ったのかピアスに食い付いてきて、
 しかもそのまま思いっきり耳たぶごと引き千切ってくれましたよ」
「アイツも好きだな…、うん?
 実はお前、Mだったのか」
「まさか。ジェイドみたく"ド"は付きませんけど御覧の通りのSですよ」
「だよなぁ。
 で、その丁寧過剰な手当もアイツか?」
「…唾でも付けとけばいいって言ったんですけどね」
「『唾液にどれだけの細菌が含まれていると思っているんです?
  細菌の感染を引き起こして化膿するのがオチですよ』…まぁ、そんなところか」
「御明察」
「愛されてるな」
「さぁ、どうでしょう」
「照れるな照れるな」
「照れてません」
「お前は照れ隠しがジェイドと似てるんだよ」
「………不服を申し立てます」
「はっはっはっ! よし、可愛い臣下の申し立てだ。聞き入れてやろう」
「じゃあ今日一日、陛下のブウサギ達とイチャイチャして過ごしたいでーす」
「よしよし。んじゃ今からコイツら連れてケテルブルクまで保養に行くとするか」
「あれ、陛下も付いてくるんですか?」
「待て。『陛下も』ってそりゃどういう意味だ?」
「え?」
「ん?」
「………。」
「………。」
「───やったー♥ 何事も言ってみるもんですね♥」
「そういうところがジェイドに似てるって言うんだ…まあいい。
 可愛い部下のおねだりだからな。
 それじゃあジェイドに気取られる前にサクッと行くぞ」
「『慎重に、且つ迅速に』ですね?」
「御名答」
「そうはいきませんよ」
「「げ、(可愛くない方の)ジェイド」」
「お二人共、相変わらず素晴らしいユニゾンぶりを発揮してるようで(にこーりにこにこ)」
「…陛下、今私走れないんですけど」
「…お前を抱えてコイツから逃げ切る自信はさすがの俺でも正直無いぞ」
「えー、お姫さま抱っこで逃走劇は女の子のロマンですよ」
「ム…そう言われっちまったら叶えんわけにはいかんな」
「まったく、貴方達という人は…」
「「怒っちゃいやん♥」」
「………。」





かのネクロマンサーも、かの陛下とかの部下のタッグにかかればただの人。

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