「──剣を貸して下さいませ」
「うんうん。その冷たさがたまらないなぁ♥」
「陛下、仮にもマルクト帝国皇帝陛下であらせられる貴方が、
 プライベートにもキムラスカ王国の王女にセクハラっていうのは、
 正直本気でどうかと思うわけで」
「ん? 何他人事みたいに言ってるんだ。お前もやるんだぞ?」
「は?」
「次はお前だって言ってるんだ」
「…マジですか?」
「マジだな」
「私が? 陛下に?」
「おう」
「おねだりを?」
「ああ。いつもジェイドにするようなやつでイイぜ♥」
「どんな猥褻な絵面を想像してるんですか。
 それこそ本当に"職場内性的嫌がらせ"セクハラで訴えますよ」
「ここは俺の国だし、どうにでもなるから俺は一向に構わないんだがな。
 ただこの剣は俺が生きてこの国を治めている限りお前らの手には渡らないことになるぜ?」
「人が下手に出てれば足下見やがってこの皇帝陛下は…」
「さあ、どうする?
 するのか? しないのか?」
「…はぁ、しょうがないですね」
「そうそう。人間諦めが肝心だぞ」
「尤もらしいこと言ってますけど、この場に相応しくないのは確かですよ。
 まったく…───陛下(気怠げな声で)」
「何だ♥」
「お願い、陛下…(陛下の首に腕を絡めて、恥じらうように伏し目がちに)」
「んー?♥」
「陛下のその剣が欲しいの…(唇が触れるか触れないかの距離で吐息でもって囁いて)」
「そうかそうか♥」
「だから……ね、陛下のそれ…ちょうだい?(とびっきりのアングルでおねだり)」
「うんうん。そのやらしい言葉選びがたまらないんだよなぁ♥
 よし、可愛い臣下にこの秘蔵の一振りを貸してやろう」
「やった、聖剣ロストセレスティ ゲット☆」
「へー、こういうのが本当の"色仕掛け"って言うんだな」
「ちょっとルーク、ソレどういう意味よぅ〜!」
「感心するところが違うぞ、ルーク…」
「勉強になりますわ」
「いや、勉強って…アッシュが泣くから、ナタリア」
「しかしこんな風に直球でねだられた事など一度として無いんですがねぇ。
 一体どこで誰を相手に覚えたんでしょうかねぇ、そんなおねだり」
「ジェイドの奴、顔の筋肉だけで笑ってるぞ…」
「イジっとくなルーク。『触らぬ神ジェイドに祟り無し』だ」

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