「では今日は貴女のその【特殊な能力】について話して頂きましょうか」


「えー…いやほら、女は秘密の数だけ魅力が高まるって言うし?」
「これ以上秘密など作らずとも貴女は十分魅力的ですよ」
「また心にも無い事を…」
「いえいえ、8割方は本音です」
「残り2割は一体何よ」
「おや、言わせるんですか?」
「は?」
「言わせるんですね?」
「え、いや」
「貴女が心配なんですよ」
「───…」
「その顔は判って頂けたようですね?」
「あー…、まぁ」
「さぁ、それでは白状なさい」
「…はーい」
「良い子ですね」


「えっと…とりあえず全身に7箇所のフォンスロットに、
 音素を身体内へと取り込む譜陣を肌へと直に刻み込んであります。
 音素を取り込む原理は…まぁ譜眼と同じかな?
 場所は両手の甲、両足の甲、背中、胸の中心、額。
 各々、第一から第七までの7つの音素に対応していて、
 7つの属性を備えた武器を具象化しまーす」
「おや、しかし貴女は第一と第六、第七属性の譜術しか使いませんね?」
「だって私、第一と第六、第七音素譜術しか使えないもの。
 譜術は音素に働きかけて音素が発する音や振動を操るでしょ?
 でも私の【コレ】は音素そのものを物理的に操って物質化するものだから。
 操作の原理と結果からしてまるで別の技術というか何というか…」
「つまり貴女のその能力は、譜術とは別の理論と技法の上に行われるものであり、
 また貴女自身譜術は、第一と第六、第七以外の扱いは長じおらず、
 且つその実、自分の【特殊な能力】についてそれほど理解を持ち得てはいないと」
「随分平たくまとめてくれたけど…まぁそんな感じ」
「そうすると具象化できる武器は7種類ということになりますね」
「えー…、そこまで話さないとダメなの?」
「駄目とは言いませんよ。
 ただ主に我々の良好な関係に関しては残念と言わざるを得ないと言いますか。
 いや、残念。本当に残念です」
「どんな脅迫なの、それ。
 だって『手札は捲らず』っていう私の人生訓に反するもの」
「そうですか。それは残念。ああ本当に残念だ」
「………判ったわよ」


「7種類の武器には面倒だから各々の意識集合体の名前を付けてまーす。
 シャドウは鎖(チェーン)、ノームは盾(シールド)、シルフは靴(ブーツ)、
 ウンディーネは衣(ヴェール)、イフリートは槍(スピア)、レムは剣(ソード)、
 ローレライは…」
「ローレライは?」
「秘密♥」
「まぁいいでしょう」


「こうなると、もはや譜術兵器のようなものですね」
「必要として欲した力だしね。
 これぐらいの代償なら安いもんかと思ってる」
「虚勢でもなく、本気でそう思っているのだから困ったものです」
「?」
「いいえ? そのぐらいの方が可愛げがあるというものなのでしょう」
「はぁ?」
【ヒロイン設定】
ユリアに望まれ、ローレライと"とある"契約を交わしアビス世界へ。
ゲームスタート時は19歳(トリップ時は17歳)
現在はマルクト軍第三師団に所属し、階級は大尉。
第三師団師団長補佐としてジェイドの右腕を務める。

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