MLSで学ぶ子供たちは皆熱心だった。
魔法律家を志し、魔法律を学び、日々着実に魔法律家への距離を詰めていた。
私は違った。
有望な生徒ではあった。
しかし優秀な生徒とはいえなかった。
それはただただ煉がずば抜けているというだけで入学した成れの果てだった。
煉がずばぬけていても、それを扱う技術がなければ宝の持ち腐れ。
私のMSL入学を決定した老人達にとっては大いな誤算だったろう。

私には煉を使いこなす技術に関してずば抜けた才能は無かった。





「僕はうちは貧乏だから。
 僕が魔法律家になって病気のママを助けるんだ」


エンチューはそう言って照れたように笑った。

彼は有望で、優秀な生徒だった。
けれどそれは彼が生得の能力者だからではなく、
真面目な生徒であるが故の然るべき結果だった。
恥ずかしかった。
どうして私なんかがこんな所に居るのだろうかと、この時初めて自分の怠惰を恥じた。
同時に羨ましいと思った。
なぜなら彼には目標があった。
『病気のママを助けるんだ』。
友人達と遊ぶ暇も、夜ぐっすりと眠る時間も惜しんで努力できるだけの理由が彼にはあった。
これなのだろうと思った。
私に足りないものは目的なのだろうと、彼の笑みを見る度に思い知らされた。


もう、
追い付けないよ。



【78】いいから黙って呑み込め。のMLS時代夢の続き。