「へーお前、面白い画描くのな」
「あなたこそ、食パンで蒸しパンをサンドして食すなんて、
 また随分と面白い構図を描いてるのね」
「あ、この伝家の宝刀『黒糖蒸しパンサンド』はやらないからな!」
「大丈夫、いらないから」
「土下座して頼まれたってらないからな!」
「土下座して頼んだりしないからとりあえず安心して」
「うん? お前ってイイ奴だな」
「人の蒸しケーキに手を出すか否かで人間の善悪が決まるのなら『イイ奴』かもね」
「そうか。要するにイイ奴なんだな、は」
「森田君と同じ程度にはね」





よし、乾杯だ
その『黒糖蒸しパンサンド』で?

こうして何だかんだと相手の名と顔と評判は知っていて、
実はこっそりと話しかける機会を伺ってた二人は、
青い空と白い雲の下『黒糖蒸しパンサンド』を頬張った。


だから 
君の心は 
空の色。