02.
「ほら、」
差し伸べられた大きな掌。
「手を繋ごう?」
貴方の背中を追うようにして私は、
ようやく前を向いて歩けるようになったばかりというのに。
なのに貴方は。
そんな私に、横に並べという。
こんなにも拙い私に、笑って手を差し伸べてくれる。
「嫌かい?」
嫌なわけなんて。
言えば貴方はやはり笑って。
「なら僕では役不足と?」
私が口を噤んで首を横に振るを知っていて。
笑って、そうして意地の悪いことを言う。
「それじゃあ手を繋ごうか、」
私が首を縦に振るしかなくなってしまうことを判っているからこそ、
貴方はそうやって優しく逃げ道を塞いで、一歩一歩私を導いてくれる。
「ああ、月が綺麗だね」
それはまるで太陽のように。
私の醜い闇を照らし出し、それでいて尚温かく包み込んでくれる。
そう、貴方という存在があって初めて生きていることを自覚する私は、
貴方が今こうして見上げている月のようなものなのかもしれない。
昇り輝く太陽に憧れ、想うあまりに終日その背中を追う月。
太陽の光があって初めて輝くことが、存在することができる脆い月。
「そうだ。今度は陽の高い内から、二人で月見へと出掛けようか?」
ああ、貴方は私を導く尊い光。
門に日向葵空行く月
貴方の笑顔が私の世界を照らし出す
太陽=藍染さん、月=ヒロイン、みたいな。
イメージ的には夜の散歩。
【
やまとことばで38のお題サマ】 02. 門に日向葵空行く月『あなたについて廻りたい』