この先の未来に一体何があるというの
これ以上に心砕く別れがあるっていうの


岸壁の花に
注いで空色の傷


「いい加減休んだらどうです、
「…ありがとう、七緒」


ああ、今すぐに。
この喉を掻き切ってしまおうか。
この先、貴方以外に愛を告げたりできないように。


「判ってる」
「ついさっきも言いましたね、その台詞」
「そう?」
「昨日も聞きましたよ、同じ台詞を」
「そう、だったかしら…」


でなければ。
この身体を空の深くへと沈めてしまおうか。
この先、貴方以外に抱かれることのないように。


…!!」


これ以上、何一つとして貴方から貰ったものを失わないように。


「綺麗ね、空」
「戻りましょう、
「青は青いし、白は白くて」
、お願いだから…」
「大丈夫よ、七緒。
 私は至って正気だから」
「それは判っています。
 …けれど大丈夫とは到底思えません」
「そんなに私は痛々しい?」
「少なくとも、見ているこちらが目を逸らしたくなるほどに」


何もかも、この場で終わらせてしまおうか。
この身に残された貴方が、一片たりとて色褪せてなどしまわないように。


「綺麗ね…。
 青い空も白い壁も…目が眩むぐらいに、綺麗」


幸福は間近に迫る喪失の先触れ、などとは良く言ったものだ。


「この青の中に伸ばせばこの手は、あの人に届くかしら…?」


私は幸せの全てを手に入れたと思っていた。
私にとって貴方が全てだったから。


「この青に飛び込めばこの心は、あの人の元へといける?」


だから貴方を失った私は、今や全てを失って。


「どうしてかしらね…」


ねぇ、この先の未来に一体何があるというの。


「美しいもの程壊れやすいというのなら、
 どうしてあの人の魂だけが奪われたの?」


これ以上に心砕く別れがあるっていうの?


「美しいものだったら、別にこの青い空や白い壁だって良かったはず。
 なのに、青や白は青や白のままなのに、
 どうして藍染さんだけが藍染さんでなくなった?」


あるのはただ。
耳が痛む程静かに晴れ渡った青い空と、目を焼き付ける真っ白な壁。
けれど、永遠に見下ろすことのないそれも、岩壁の如くそそり立つそれも、
そのどちらだって彼岸の貴方へと続くものじゃない。
届くものじゃない。

そう、もう貴方には届かない。


「ねぇ…」


声は届かない。
涙だって届かない。

もう何ひとつ、届かない。


「どうして私は、独りになった…?」


貴方に届かないものなど何の価値も、無い。


「答えて、藍染さん…」





それでもこの心は、今も。










残されたものは、ただ。
青い空に、白い壁。

そして、岩壁からの一歩を踏み出せずに独り立ち尽くす私。



マイ設定では藍染さんと京楽隊長は仲が良い(だって惣右介君って…!)で、
ヒロインも七緒と仲良しな設定なのです。