君は、笑う
花のように
光のように
光の花
「藍染さんと植えた梅、綺麗に咲きましたね」
「そうだね」
紅を彩る白。
白を映す紅。
互いに互いを引き立て合う艶やか紅と高潔な白。
まさに見事、と。
言い切ってって憚らないほどに美しく花開いた紅白梅。
それらを見上げて、隣の彼女はふわりと柔らかくその眼差しを細めた。
ともすればこの口元は、どうしたって緩まざるを得ず。
「…実は、ですね」
「何だい?」
「ついこの間、恋次とルキアが突然うちに遊びに来たんですけど…」
目に映るもの全てが愛おしい、なんて。
こんな幸福があっていいのだろうか。
「この満開の梅をどうしても藍染さんと最初に見たくて、追い返しちゃったんですよ」
穏やかな、その目眩。
『幸福に目が眩む』というのも、
あながち比喩のみに頼った表現ではないのだ、と。
そう思った。
「それは…──二人には悪いことをしたね」
「ふふ、きちんと埋め合わせの約束はしましたから大丈夫です」
ああ光を集めて花の形を作ったら、君のようになるのだろうか。
「恐いですね」
「恐い?」
「ええ」
ほら、君は笑う。
「だって私は、藍染さんとの時間を得るためなら、
多少の言葉のあやも厭わなくなってしまったんですから」
まるで、花のように。
そして、光のように。
「───」
「はい?」
「君にはいつだってそうやって笑っていて欲しい」
「え、藍染さん…?」
花のようなそれに、光のようなそれに。
この胸は酷く安堵する。
しかし同時に、言い様もない疼きをも覚えて。
「勿論、無理をしてまで笑っていて欲しいとは思わないよ。ただ…」
その笑顔をずっと見ていたい。
しかしこの腕の中に閉じ込めてもしまいたい。
相反する、その思考。
絡まり合っては深まっていく、この想い。
けれど、そんなどちらの感情も結局巡り至る処は君で。
つまるところ、君に対する切実な感情で。
「ただ僕は、君の笑った顔が本当に好きだから」
そう、好きなんだ。
好きだと感じるそれ自体が理由となるぐらいに。
君の笑顔が、好きなんだ。
「だから、君にはいつだってそうやって笑っていて欲しい」
君が、好きなんだ。
「───それもできれば、こうして僕のすぐ傍らで」
愛おしくて、仕方無いんだ。
「はい…」
「ありがとう」
「ただし、ですね」
惚れた弱味といったらそれまでなのだろうけれど。
君が笑うその顔を、今日も、明日も、その先も、
見たいがために僕は日々を生きているのかもしれない、なんて。
そんなことをぼんやりとでも本気で考えてしまう僕は、
相当に重傷で、既に手遅れなのだろうね。
「一つだけ条件があります」
「条件、かい?」
「はい」
なのに君は。
そんな僕に君は。
「どうか、藍染さんも笑っていて下さいね」
ほら、またそうやって笑うんだ。
「私も藍染さんの笑った顔、とても好きですから」
花のように。
光のように。
書 い て る 本 人 、こ っ 恥 ず か し く て 息 も 絶 々 で す 。
このSSは、勝手ながら大ファンのまどかサンへと捧げさせて頂き、たく。(押しつけかよ)
よよよ良かったら、というか見てらしたらどうぞ貰ってやって下さい…!
こんなところでなんですが、あのアニメバナーには本気でやられました。
アレもう、本当に私の理想の藍染さんなんですよ。
今回のSSもあのバナーの笑顔に触発されて書いてしまったり。
素敵藍染さん同盟、全力で応援してますんで!