「ごめんね、ヘブラスカ」
『…』
「貴方がこんな人体実験を強いられていたこと、私は今まで知らずにいた」
『仕方の無い、事だ…』
「そんな自分を悔いてる。
傲慢なことこの上無いわ。腹が立つ」
『私は、それを…とても嬉しく…思う』
「…変わらないわね、ヘブラスカは」
『ああ……私は、変わらない…』
「変わることは決して罪ではないわ」
『…私においては大罪であり、許されぬ裏切りだ』
「ヘブ…」
『そう呼んでくれるのは…、今はもうだけ、だ、な…』
「あの馬鹿師匠は相変わらず音沙汰無しだしね」
『元気にしている、だろうか』
「あの人は殺したって死なないわよ」
『フフ…そう、だな』
「近い内にあの人に"顔貸させに"行くから、伝言とかあれば承るけど?」
『ありがとう、』
「ねぇ、ヘブ」
『…何、だ?』
「貴方のことを『ヘブ』と呼ぶ人間はこれからも増えていくわ。
私がそうであったように」
『!』
「あのバカ師匠がそうしたように、私がこれから増やしていく」
『…』
「それじゃ、行って来るわね」
『ああ…、行って、おいで…』
皮肉な天使
他に望まれるが故に、他を望むことを許されず
ヘブラスカには友と、そう呼び合え人間はもう居ないんじゃないかと。
こうして師匠→ヒロイン→コムイと『ヘブ』友が増えてくわけです。
title20 変わり種 No.07 ー 皮肉な天使