望みし勝利は
『死んだ隊長を見て、その息子が父を求めないと言い切れるかい?』
つい先程、涙に濡れたファインダーへと突き付けた言葉。
それは一体誰に、何に対しての"釘"だったのか。
「決まってる」
死んだ彼女を見て、僕はを求めずにいられるのか?
「───いられるわけがない」
そう、僕自身への釘だ。
「…怒るだろうなぁ」
もしも彼女が死んでしまって。
その元凶である伯爵が手を差し伸べて来たら。
それが彼女なら、僕はその手を掴み取ってしまうかもしれない。
そんなことをすれば。
おそらく、否、絶対に彼女は怒るだろう。
「リナリーを悲しませるなんて最低ね」と。
「見損なったわ」と。
冷ややかに憤慨して、淡々と僕を罵るだろう。
「…」
それでも彼女を失って、伯爵の甘い讒言に耳を貸さずにられる自信は正直無い。
「僕が護るよ」
だから。
だからこそ。
間違えてなどしまわぬよう。
僕は考える。
伯爵に勝つための方策を。
「───君を僕から取り上げようとする全ての事象を粉砕してやる」
我らに、勝利を。
科学者としての、コムイの戦い方。