12.


「時に必要と判断すればお前はどんな汚れ役も憎まれ役をも厭わない。
 むしろお前はいつだって誰かしらのためにと、我先に泥を纏いたがる」
「買い被りよ」
「その証拠に、お前は他人の一大事となると目の色を変えて冷静さを磨り減らす」
「………」
「どれだけの付き合いだと思っている」
「私のことなんて全てお見通しだと?」
「お前が私を見通す程度にならばな」
「…判ったわよ、私の負けよ。
 今回はここで大人しくしてるわ」
「賢明だ」
「まったく…エルロンドってば本当とんだ航海士よね」
「航海士…?」
「そう。まるであての無い航路を漂うような私の人生には必要不可欠な存在ってこと」
「それは光栄なことだ」
「…頼りにしてるんだから、親友」
「ああ。頼りにされているさ、親愛なる友よ」


あての無い旅路