星色
アンダンティーノ


この掌から零れ落ちる星の力は。
夜光の眷属の力は、翳すものにあらゆる安らぎを与える。


「お前のその力は非常に有効だな」


とは、エルロンドの弁。
こちらの世界にどうやら麻酔なる物質はないらしく。
だからといって阿片やら何やらを麻酔代わりに使用することもないようで。
(まぁエルフにはそんな葉っぱ如きの覚醒作用なんざ効きやしないんだろうけど)
そこで登場する、というか活用されるのが私。
要するに星光の癒す力。


「まぁこっちだと一応魔法ってことになるんだろうけど…」


正直、こそばゆい。
科学の時代に生まれて育った身としては、
使う度にやはり、微かな恥ずかしさなんてものが込み上げてきたりするのだ。


「科学的に考えてみればたぶん、魔力っていうか…、
 波形でいえば超高周波の超音波と遠赤外線の混合物みたいなものが、
 脳内の神経細胞を刺激して脳内モルヒネのエンドルフィン生成を、
 一時的に助長させるんだと思うんだけど…」


その度に、そんないまだに馴れない、照れにも似た感覚を、
誤魔化すためか何かいまいち自分でも良く判らないままに、
親友には絶対に判らないだろう学術用語を敢えてこ難しく並べ立てることもしばしば。


「………。」
「ああでも、そういう現代科学をもってしてもいまだ未知と言わざるを得ない、
 不思議な波長を出せること自体が魔法なんだから、科学的な考察も何もないか」


その都度、隣の生真面目な親友はやはり小難しい顔をしながらも、
羅列させた言葉の内いくつかでも…と、理解してくれようなんてするから、
少しばかりの罪悪感なんてものも感じてしまうのだけれど。





「…私には良く判らないが、これからも手を貸して欲しい」
「それは勿論。何を今更水臭いこと言ってるのよ親友」



ものっそい短い、エルロンド友情夢。
エルロンド友情夢なんて完全独りよがりかと思いきや、
何と楽しんで下さってる方がいるとのことで…!
良ければ投票型アンケートでコメントを下さった方々へ。ありがとうございました!