蕩尽に関する別考察 2








学生会館一階の食堂は、の懸念した通りの様相を呈していた。
初々しい新入生達でごった返しているのに加え、
サークルの新入生勧誘活動が激しく、そして暑苦しく展開されている。


「さっさと済ませて上に行くか」
「懸命ね」


二人、飾ってあるメニューに目を向けるもなく列へと並ぶ。


「そういえば我がEMCは未だ新入生ゼロやな」
「そうね」
「このままやと存続が危ぶまれるな…」
「そうね」
「……どうでもええんか?」
「まさか」


流れ作業的に捌けていくB定食を受け取り、空席を求めて辺りを物色する。
するとちょうど二つ並んで空いてる席を発見し、腰を下ろすなりすぐさま箸を付け始めた。


「それにしてはいやに我関せず的なお言葉やな」


横目に収めつつ、傍観に徹していた他サークルの勧誘活動だったが、
ふと自分の所属する英都大学推理小説研究会、
略してEMCの今年の新入部員の数字を思い出し、その危機ぶりを今更ながら再実感する。


「それじゃあ聞くけど、今年の我がEMCの勧誘活動はどんなものだった?」
「………それもそうや」
「因果応報、結果相応よ」


指摘されて思い当る勧誘活動といえば、また個性も無く勧誘ポスターだったりする。
しかし人目につく絶好の掲示場所は皆大手のサークルに占拠されてしまっているために、
そのほとんどが男子トイレの壁に貼られているというの現状だった。
まぁ、ある意味個性的ではあるが。


「私達は運良くも、江神さん本人の手からチラシを受け取ったから良いものの。
 普通はポスターに書かれてる連絡先や説明会の場所をメモに取るか、
 でなければポスター自体を剥がして持って行くものでしょ。
 『このポスターを見て来ました』ってね」
「…確かに、トイレに貼ってあるポスターをいちいち剥がしたりメモる気にはならんわな」


箸を口にしたまま軽く溜め息を吐く。
いちいち箸を止めて口を開く自分に対し、食べ物を口に運ぶ手を休めずに流暢に喋る
二つ以上の事柄を平行して行うことに長けている彼女のその様子に、
相変わらず器用なものだと関心する。


「さて、行くか」
「そうね」


B定食をさっと腹に収めると、早々に二階のラウンジへと向かった。
今日は月曜日だ。
我らがEMCの先輩陣も面子を揃えていることだろう。



2話目は挿入部として短めに。
つーか、いつまで続くかアリス視点…もうしばらくは続きそうです。(汗)
次は我等がEMCの先輩陣が登場です。