You are always on my mind.


「まずは『問題』の区分について話しようか」


言って黒衣の探偵は、その童顔を存分に活かしてにっこりと笑う。


「『問題』には3種類あると言われている」


おもむろにくるくると回し出された黒いフェルト帽。


「まず、『パズル』。
 論理的にただ一つの正解が決まる問題」


黒い手袋に包まれた指が一本、真っ直ぐに伸ばされる。


「次に、『パラドクス』。
 正解があるはずなのに、常識と合致した答えが一つも見あたらない問題」


ついで、二本目がすっと伸ばされて。


「そして、『ジレンマ』。
 常識と合致した答えが複数見つかるが、
 互いに矛盾しており、どれが正解か決めがたい問題」


長い前髪の下から覗く大きな瞳がゆったりと細められ、三本目が伸ばされた。


「そこで、だ。
 龍宮の嬢に対する感情をこの3つのどれかに分類するとすればやはり、
 最後の『ジレンマ』が相応しいと龍宮は思うんだよ」
「…そのココロは?」


黒い掌がこの頬を包んだ時に既には、
あどけなかったはずの笑みはしたたかな男のそれへと変わっていて。





「好きだよ、嬢」





唇に触れた温かな感触。
ゆっくりと徐々に戻ってきた視界には、優しく、けれど満足げなその人の顔があった。



Web拍手お礼だった龍宮夢。
子供に見せかけて大胆に不意打ちかます大人な策士の龍宮さんでした。