心地良い水の気配、白い花の香り
鈍く鼻を突く海の匂い
「…それで、今更のこのことワシらを追って来てどうするつもりだったんじゃ」


向けられるのは、夜の湖水のような静かな視線。

見知った少女であるというのに。
それは確かに見知った少女であるのに。
どこか拭えぬ違和感。
否、違和感とはまた違うのだろう。
何とも筆舌し難い、鼓膜の内側がざわつくような不快な感覚。

───まさか


「自然系か。それも【水】の能力…」


全くの無意識に、しかし瞬発的に。
少女の利き手を探したこの両眼。


「【ミズミズ】の実、俺はその力を持つ能力者を一人だけ知っている」


白い手の、細い薬指へとはまった銀の輪。


「海軍上層部も元帥と三大将のみにしか顔を知られぬという、
 海軍内でも極めて特異な存在だ」


首の裏が凍り付いてぎしりと軋んで音を立てる。


「飛び抜けた記憶力により博覧強記を誇り、
 海軍創立からの裁判記録・犯罪記録・有事記録の一切の情報をその脳に刻み、
 海軍元帥の右腕として、三大将の上に君臨していた者…」


否、軋んだの自分ではなく世界か。





「───1年前、任務中に行方不明となった海軍元帥附副官だ」





海水に濡れた銀の輪が、鈍く鉛のように輝いた。



実の名前に悩んで、今の今までupできなかったとかそんな裏事情。
upする直前まで迷いました…迷ってこの結果なんです(ズーン)
ほら、コロコダイルとか【スナスナの実】とかまんまだし大丈夫かなって…!
───何かイイ感じの名前とか思い付きましたら教えてやって下さい(白旗)

【ミズミズ(水水)】(しかしまんま過ぎるよな…)【スイスイ(水水)】
【ナミナミ(波波)】【パシャパシャ(飛沫)】【ザバザバ(波)】【リュウリュウ(流流)】
【タプタプ(水塊)】【ユラユラ(水面)】【シトシト(雨)】【ポタポタ(雫)】etc...
水って擬音がとてつもなく多いのだと思い知りました。

本屋に走って「『ぽたぽたとぷん』って絵本置いてありますか」とか、
無駄に真顔で口走って店員を困らせたとかそんな舞台裏はここだけの話。

image music:【現実に於て】_ 東京事変.