03.
「カクさんの手って、やっぱり職人さんの手ですよね」
それは。
本当に、本当に何気ないけれど何処か物珍しい会話だった。
「そりゃ職人じゃからな」
「いえ、それはまぁ、そうなんですけど…」
そういうことじゃなくて。
言っては、「ほれ」と渡された布でカク同様に墨の付いた手を拭った。
「羨ましいです」
「羨ましい?」
「はい。骨張った指とか、厚い掌とか…あとは木材に触れるときの優しい手付きとか」
触ってもいいですか?と問われて、
無下にもダメとは言えずにカクは大人しく利き手を差し出す。
するとは嬉しそうに、差し出されたそれにそっと触れた。
大きな手。
乾いた掌。
無骨で長い指。
それらを視界に収めると、はふっと柔らかく目を細めて。
「カクさんの手、やっぱり好きだなぁって」
そして細かい古傷だらけの手の甲を愛おしげに撫でて、は微笑った。
「…そうか」
「はい」
galleyロゴの帽子をいつになく深く被り直すとカクは、
普段のそれよりも多少乱雑な所作でもってくしゃりとの頭を撫でた。
【船大工ラバーさんに10のお題】03職人さん
本命宣言にもカク夢。
本誌の方は何やら大変なことになっとりますが、
カクの戦う姿が見れるならばそれも良しとか思ってる私は34巻を枕元に置いてるような女です(笑)