トリック
コンタクト


「もしもし」
『もしもし、ムヒョ?』
「…あぁ」
『あはは、やっぱり起こしちゃったみたいだね。
 久しぶりだけど元気してる?』
「死なない程度にな」
『相変わらず捻くれてるねぇ』
「ヒッヒ…まぁな」
『まったく…あ、そうそう。どう? 仕事の方は順調?』
「……あぁ」
『何、その微妙な間は。
 っていうか、私には「オメーの方こそ死なずにやってるか?」とか聞いてくれないのー?』
「はッ。お前の事だ…相変わらずなんだろうが。聞くまでもねぇ…」
『やだ。何か「愛してる…」とかストレートに囁かれるよりずっと嬉しいかも』
「…あ?」
『だって何だか熟年カップルって感じがするじゃない?』
「アホか」


「で、何の用だ?」
『何の用って?』
「まさか世間話しにかけてきたわけじゃねェだろ」
『………』
「……おい」
『やーねぇ。軽い冗談に決まってるじゃなーい。
 愛しいムヒョの声がどうしても聞きたくなって…』
「切るぞ」
『ヒドーイ! それがこんなにも一途に恋する乙女へのリアクション!?』
「うるせぇよ」
『まったく…本当相変わらずなんだもんね」
「たりめーだろ」
「まぁいいわ。それじゃあ本題に入りますか』
「最初から入れ」
『エンチューの放った霊に襲われたわ』
「………お前の方にもか」
『やっぱり、ムヒョの方にも…』
「あぁ」
『私の方は魔界から召還した奴じゃなかったから大した事無かったんだけど…そっちは?』
「コッチもだ」
『そう…報告は?』
「…いや」
『よね。でも良かった。
 その様子だとまだ直に顔合わせてないみたいで。
 ヨイチの話だとエンチューの最近の動向、全く掴めてないらしいから』
「…そうか」
『直接合って話したい事もあるんだけど、今日空いてる?
 空いてるようだったら私がそっちに行くから』
「判った」
『ではでは、早速お邪魔します』
「…は?」
『ムヒョの今日のパジャマの柄予想しよっか?』
「オイ、待て…」
『当たったらデート1回ね♥』
「…はァ!?」
「へぁ!?」


───ピンポーン…


『ズバリ、今日はストライプと見た!』
「………」



『ファーストコンタクト』のムヒョとの電話の内容。
一応、第三条の後辺りを意識してのお話でしたってコトで。