アクティブ
エングラム


「…あたしの弱点を教えて欲しい?」


またもや押し掛けティータイムを勝手気ままに満喫していたマタイは、
空になったのカップに紅茶のおかわりを注ぐと、
おもむろにもそんなことをのたまった。


「はい」
「どうして?」
「私が知りたいと思うからです」


まるで子供の理論。
「却下」との取りつく島も無いの物言いにも、
にっこりとなんて相変わらず得体の知れない笑顔を浮かべてマタイは食い下がる。


「ね、教えて下さいよ」
「弱点は隠し誤魔化すものであって晒すものじゃない」
「御尤も。けれどそれはそれ、これはこれです」
「指示語の示す内容が欠落し過ぎ」


しかし手堅さなら教理聖省随一とされる
押しても駄目なら引いても無駄なその淡白さは、
マタイをもってしても容易に崩せるものではなく。
当然の如く、自身の弱点を彼になど晒すつもりは毛頭無いらしい。
ささやかながらも手厳しく添削を加えるとは、
これまた紅茶同様、わざわざマタイが取り寄せた有名菓子店の焼き菓子を、
特に美味しそうにでも不味そうにでもなく淡々と口に運んだ。
そうして健気ぶったマタイが「ね?」と首を傾げてお願いして見せても、
もくもくと咀嚼運動で黙殺である。
もはや口を開く気すらも無いとの意思表示らしい。
けれどそれもまた予想の範疇なのか、はたまた開き直って押し切る腹積りなのか。
場違いにも満足げになんて笑んでマタイは言った。


「あ、ちなみに私の弱点は貴女ですよ」
「そう」
「……そこはもう少しリアクションの欲しいところなんですが」





そう、近頃の彼はそんな空回りすらも楽しむようになっていた。



Web拍手お礼だったマタイ夢。
何か書く度に、どんどんダメ男化してくウチのマタイ。
「何でだろう?」と身内に聞いてみたところ、「書き手の親馬鹿加減のせいだろ」とのこと。
…ああ、なるほど。(納得)