Do you love me ?


「最近、ガイナン様とちび様のツーショットに違和感が無くなってきた理由が判ったわ」


ぽむ、と。
ジャンケンのグーを下からパーで受け止める形で手を打ったメリィに、
理事室に居た面々は各々ゆったりと顔を挙げた。


「何だよ、急に?」
「いや、ガイナン様とちび様が親子いうんはやっぱ色々と無理がある感じやったろ?」


それこそちび様が世襲用クローンって囃し立てられる理由なんやろし。
言ってメリィは「なぁ?」とシェリィにその顔を向ける。
何となくだが、メリィがこれから言わんとしているところを察したらしいシェリィは、
小さく頷いて肯定の意を示した。
一方、話の流れもオチもさっぱり予測もつかないJr.、ガイナン、は、
不可解、と三者三様に首を傾げた。


「せやけど、を介在して解釈すれば一連の違和感も無くなるねん」


突然、名指しの御指名を受けたが、「私?」と自身の指で自身を指す。
ここで話の仔細にまで合点のいったらしいシェリィが「そうね」と小さく笑った。
何が何やら。
顔を見合わせたのは他に誰が居ようか、当事者たる代表理事2人とカウンセラー。
「どういうこと?」とが頭上に疑問符を浮かべて首を傾げてみせれば、
Jr.は「知るかよ」とわざとらしく肩を竦め、
ガイナンは「さて」と利き手を口元へと添え小さく唸る。
そんな3人の様子を見て、ふっふっふと得意満面顔でメリィは更に続けた。


「ガイナン様と、そしてちび様。
 そうやってガイナン様とちび様の関係を見れば、腑に落ちる構図が出てくるんよ」
「俺はおまけか…?
 で、一体どういう構図なんだよ」


3人を代表して問い返したのはJr.。
しかしその口調が他の2人とは異なり警戒心帯びていたのは、
メリィの言いたいことろを漠然とだが本能的に感じ取っていたからだろう。

そしてそのスカウト的勘は、見事に的中する。





「その構図とは…───ガイナン様とその恋人、プラスその恋人の弟!」





「あら」、「ふむ」と。
妙にまったりとしたリアクションを返したとガイナンの2人を余所に、
ピシリと皹入るような乾いた音を立ててJr.が固まった。


「───却下だ! 却下ッ!!」
「Jr.イコール私とガイナン理事の子供説は?」
「お前も乗んな、!」
が少し若過ぎるわね」
「そういう問題じゃねぇだろ、シェリィ!」
「そう? うら若いお母さんっていうのにも結構憧れるんだけど…」
「実母は無理だが、義母なら何とかなるな」
「ガイナン!?」
「ああ、なるほど。
 私がガイナン理事にお嫁さんに貰ってもらって、Jr.の"弟妹"を作ればいいわけですね♥」
「そこ、二人! にこやかに問題発言満載な会話をすんな!!」
「あはは、ちび様ツッコミフル活動やー」


メリィの話、もといJr.イジメに乗ると決め込んだのか。
煽るに、冷静な指摘を寄越すシェリィ。
そして口元に利き手を添えると、良い意味でらしくもなく、
穏やかにそんなトンデモ提案を発したガイナン。
それらに律儀にも片っ端からツッコミを入れていくJr.。
Jr.の馬鹿丁寧なツッコミぶりに、けらけらと笑うメリィ。

そう。





「〜〜〜お前ら、どこまで本気なんだよ!」





4人がかりのJr.いじめは、どこまでも本気の冗談だった。



こんなんでも、一応Jr.夢…のつもり。(オイ)
相変わらずJr.にメロメロです。