ダンディズム
☆  
パラダイム


「げぇっ! 何だこりゃ!」


どうしてかデュランダル居住区画の一室、しかもクローゼットの中に潜んでいた、
自称・ダンディズムの伝道師たるグレイト・ジョー。
その笑いを誘う爽快な踵落としをかわし、すり抜け様にJr.が掠め盗ったアイテムは。


「水着ィ!?」


そう、水着だった。


「むぅ…ッ! やるな、ボーイ!」
「うるせぇよ!!」


しかもばっちりと女モノ。
シックな漆黒の、どこかレトロさを漂わすモンローカットなビキニ。
胸元にはモダンでセクシーな緩いフリル。
生地は上質なスエード、更にパレオ付きときてる。


「うーん、敵ながらなかなかイイ趣味してるわね」
「感心すんな! つか、このクソ忙しい時に何品定めしてんだよ!!」
「いや、コレ私が着ようかと思って」
「はぁ!?」


水着のサイズを確認したり、傍らでギャーギャーと騒ぐJr.を片手間にあしらいながらも、
利き手のレーザーウィップは的確に敵の急所を狙っていたり、
カモンブリットを弾く盾代わりにとエーテルを放っていたりと、
攻防だけはしっかりと繰り広げているのだから、我が事ながらその器用さには笑える。

そして。


「ああクソっ、ゴーアヘッド、メイクマイデイッ!!」


どうしてか酷く投げやりにカタカナで言い捨てたJr.の勝ち台詞により、
戦闘は無事幕を引いた。


「───ふ…っ、その水着は次の決着まで預けておくぜ、ブラザー…!」
「次なんてねぇよ! ってか持って帰れ!!」


白い歯をきらりと輝かせ、目深に被った帽子の鍔を指で弾いて、
曲解に曲解を重ねたダンディズムたっぷりに消えていくジョーのそんな賞賛の言葉に、
(というか何故に水着…)と心中揃ってツッコミを入れたパーティーを背景にし、
Jr.は肩をいからせ、こめかりにはっきりと怒りマークをひっつけてそう叫び散らした。

そんなこんなで結局。
手元へと残された今戦闘の戦利品、水着。


「ねぇ。サイズもぴったりっぽいし、コレ私が貰ってもイイ?」


周囲を見渡してお伺いを立てれば。


「ダメだッ!!」


やはり跳ね返ってきた、愛しいブーイング。





「えー、何でよ(取得T.pt25%up…)」
「ダメなもんはダメなんだよ!!」
「はいはい…、じゃあシオン着る?」
「主任、ダメですよ!!」
「………どっから湧いたの、世話女房」



さりげなくアレンvシオン風味に。あの二人最高。全力応援中です。
しかし、ジョーの消え様の台詞には本気でビビリました。
「何ィー!? 水着ポケッたん(サイコポケットでパクったの略)ばれてたんー!?」って(笑)

こんなギャグってるブツでよろしければ七色サンへ。
いつも嬉しい一言をありがとうございます!