あたしは君のメロディーやその哲学や言葉、全てを
守る為なら少し位する苦労もいとわないのです
「何つーか、もの凄いレトロな歌調だな」
「まぁ、ね」
何の脈絡も無く突然歌を歌い出した私に、
最初Jr.は「訳が判らない」とばかりに酷く不可解げに眉根を寄せたが、
一切取り合わずに歌い続けて強行すれば、
いくらか耳を傾けている内に琴線に触れるものでもあったのか、
結局は、私の膝を勝手に枕にしつつ最後まで大人しく聞き手に回った。
「何ていうんだ、曲の名前?」
「幸福論」
「へぇ…」
そしてあたしは君の強さも隠しがちな弱さも汲んで
時の流れと空の色に何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に
あたしは君のメロディーやその哲学や言葉、全てを守り通します
君が其処に生きているという真実だけで
幸福なのです
「で、またどうしてそんな急に歌なんて歌い出したんだよ」
「今の私の、Jr.に対する気持ちを簡潔表現できる歌だと思って」
君が其処に生きているという真実だけで
幸福なのです
「───…恥ずかしい奴」
「どういたしまして」
椎名林檎の『幸福論』。
ものっそい大好きです、この曲。
真っ青な空を見上げてると歌いたくなる曲です。
image music:【幸福論】 _ 椎名林檎.