そうだ。 もうとうの昔に覚悟はできていたはずだ。 「…」 違う。 覚悟ができていたのではなく。 選ぶべき選択肢が最初から確定していただけだったのか。 「…」 そうだ。 俺は何の覚悟も決めちゃいなかったんだ。 自分の無力さに甘んじて、ただそこにある選択肢を受け入れただけだったんだ。 「頼む、目を…、目を開けてくれ」 そしてお前は、そんな俺を。 その自らの死ごと受け止めて。 「…ッ!!」 無抵抗にも俺の全てを受け止め、受け入れて。 「俺は、お前のことを本当に…っ」 ああ、俺は覚悟なんざ出来ちゃいなかった。 覚悟が出来ていたのは俺ではなく、俺の片翼であったお前の方だったんだ。 |